◆中国のパンダ業界の変化◆ジャイアントパンダの飼育と遺伝的多様性の問題◆飼育パンダと野生パンダの習性の違い◆「本当のジャイアントパンダ」を愛する人のために
中国のパンダ業界の変化
2019年11月から中国のパンダ関係のニュースをチェックし始めて、早いもので3年半が経ちました。その間に中国のパンダ業界は少なからず変化したと感じています。
まず、自然保護区の野生パンダが頻繁に撮影されるようになりました。これは巡回中の監視員や一般住民、または赤外線カメラによるものです。
また、2021年10月にはジャイアントパンダ国家公園が成立しました。これにより、野生パンダだけでなく、パンダ生息地で働く監視員の仕事、地元住民の生活や意識の変化を伝える報道が増えました。
飼育パンダについても、野生化訓練や野外導入の成果を強調し、野生パンダ個体群の保護を国内向けに啓蒙する報道が増えています。
しかし、2021年以降、野生動物保護を管轄する林業・草原局は、国内の動物園への新たなパンダのレンタルを事実上中止しています(2023年8月に再開)。
一方で、「丫丫」「美香」「和花」など、一部の飼育パンダに関心が過度に集中しています。これにより誤解やデマも発生し、観覧や飼育の現場に少なからず混乱が生じています。
ジャイアントパンダの飼育と遺伝的多様性の問題
ジャイアントパンダは野生動物で、中国には野生の個体群が存在します。しかし、その数の約3分の1以上が飼育されています。
ワシントン条約により、ジャイアントパンダの国際取引は規制されています。しかし、「研究」の名目で外国にレンタルされることもあり、世界中で注目されています。
しかし、飼育された野生動物には「遺伝的多様性」の問題があります。飼育個体群を健全に維持するためには、定期的に野生の個体を捕獲して投入する必要があります。
ジャイアントパンダも例外ではなく、野生個体の捕獲を避けるためには、野外導入(訓練した飼育パンダの雌を野外で野生パンダの雄と交配させること)を行うしかありません。飼育パンダが無条件に増え続けることはありません。
今後は、飼育パンダの数よりも遺伝的多様性を重視し、それを補うために野外導入をどのくらい実施できるかが重要です。しかし、現在、野外導入に成功している繁殖基地は中国パンダ保護研究センターだけです。
飼育パンダと野生パンダの習性の違い
現在、中国の主要なニュースメディアや自然保護区のSNSは、週に何度も野生のパンダの映像を公開しています。
これらの映像や説明は、野生パンダの行動パターンについて多くの情報を提供しています。野生のパンダでは、雄が争い、最も強い雄だけが雌に接近することができます。そして、雌は自分が最も好きな雄だけを選び、生まれた子供の中で最も強いものだけを育てます。これにより、ジャイアントパンダは最強の遺伝子を保持してきました。
自然な行動を持つ野生パンダは、非常に魅力的です。そして、これらのパンダの生存は国の政策、現地の住民、そしてそこで働く人々に依存しています。
一方、飼育パンダの行動は、野生パンダとは大きく異なります。動物園では、野生動物についての教育を推進しつつ、異なる習性を持つ飼育個体を展示し続けています。
外国から来た野生動物を飼育施設で見る時代は終わり、これからは野生動物が自然の生息地でよりよく生きられるように、現地の活動を支援することが一般的になることを期待します。
「本当のジャイアントパンダ」を愛する人のために
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※これは、2023年5月31日に配信した記事の改訂版です。