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多くの人々が「飼育パンダ」に関心を持っていますが、「野生パンダ」についてはあまり知られていません。実は、現在の飼育パンダたちの祖先の一部が野生から捕獲されたパンダたちだということをご存知でしょうか?
2023年末時点で、中国の野生パンダ個体群は約1,900頭、世界中の飼育パンダ個体群は700頭あまりとされています。しかし、これまでに飼育されたパンダ全1200頭以上のうち、300頭以上が野生から捕獲されたパンダたちでした。
20世紀半ば以降、人間は野生パンダの生息地を減少させただけでなく、飼育パンダ個体群を形成するために野生パンダ個体群に大きな影響を与えました。
ジャイアントパンダのような大型哺乳類は、500頭以上の個体群でないと長期的な生存が難しいと言われています。しかし、現在最大の野生個体群でも300頭程度しかいません。20世紀後半に300頭ものパンダが捕獲されたことは、野生個体群にとって大きな損失でした。
捕獲された300頭以上の野生パンダたちは、食べ物も繁殖も難しい「地獄」のような飼育環境で生きることを強いられました。当時のジャイアントパンダ研究者たちも、この「地獄」を目の当たりにしてきました。
「野生パンダのためのレクイエム」では、1930年代以降2020年初頭までの歴代飼育パンダに関するデータの分析と併せて、次のことを書いています。
研究者たちの思い
中国のジャイアントパンダ保護の現状
付録:日本に縁のある捕獲された故・野生パンダ、現在も生存している捕獲された野生パンダ(後日掲載)
これらの野生パンダたちへのせめてもの償いと、彼らの苦難を目撃してきた研究者たちへの労いのために、私たちは彼らの歴史を忘れてはならないと思います。お時間のあるときにお読みいただけると幸いです。
今後、Xでは存命中の捕獲された野生パンダたちの詳細なプロフィールを連載する予定です。
Shiyuudou