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上野動物園のパンダ「シャンシャン」は、2月21日に中国に行くことになっている。しかし中国パンダ保護研究センターのどの基地に行くのか、まだ明らかにされていない。
おそらく同センターから正式な通知がないため、公表できないのだと推測される。公的機関による意思決定が直前まで通知されないのは、中国ではごく普通のことだ。
ただシャンシャンの行き先にはそもそも選択肢があまりない。またこれまでの帰国パンダの移動実績を勘案すれば、ある程度の予測はできる。
最初に行くのはおそらく碧峰峡基地(四川省雅安市)
その後繁殖に参加する場合、神樹坪基地(四川省阿壩チベット族チャン族自治州)へ
当面繁殖に参加しない場合、碧峰峡基地に留まるか、国内の他の飼育施設へ
検疫は同センターのどの基地でも可能。ただ近年は分業が進み、2018年以降に出国したパンダたちは碧峰峡基地で検疫を受けたため、外国帰りのパンダもまずここに入る可能性が高い。約1ヶ月〜1ヶ月半の検疫を経て、問題がなければ展示される。
飼育パンダの繁殖計画に関する会議は毎年11月に開催され、そこで対象となる個体とその組み合わせが決定する。その後、対象のパンダは神樹坪基地に移動する。
外国生まれパンダの第1号だった「華美」は2004年に帰国し、その年に出産した。ただ現在では、出生数よりも遺伝的多様性が重視されている。そのため繁殖対象のパンダは厳選される傾向にあるし、外国生まれのパンダの場合、早くて帰国の翌年に出産している。近年の例では、
米国スミソニアン動物園生まれの「宝宝」は2017年に帰国し、2020年に初産
マレーシア国立動物園生まれの「暖暖」は2017年に、オーストリア・シェーンブルン動物園の「福鳳」は2018年に帰国。2頭とも2019年に江蘇省の紫清湖野生動物世界に移動
従ってシャンシャンの将来を占うために重要なのは、むしろ2番目にどこに行くか(あるいは留まるか)である。
当面繁殖に参加しない場合、以前は中国国内の動物園に行く可能性もあった。ただ2021年以降、中国パンダ保護研究センターのパンダは国内の動物園へ移動していない。
コロナ禍の影響も考えられるが、現在大規模かつハイレベルな基地が複数建設中または建設予定である。従って行くとすれば、新しい施設の可能性が高い(もちろんそこで繁殖に参加する選択肢もある)。
現在繁殖では親戚の少ない個体が優先されるため、シャンシャンの優先順位は高くない。それでも他の(特に政治的)要因により、繁殖に参加する可能性もゼロではない。
ちなみに碧峰峡基地は野生パンダの生息地を可能な限り模倣した、パンダにとってやさしい(観光客にはやさしくない)基地として定評がある。
ようやく大都会の東京から離れて、シャンシャンのまつ毛ダニ(都会に住むパンダによく見られるという)も回復するかもしれない。シャンシャンが当面暮らすには申し分ない場所だと思う。
どうか心置きなくシャンシャンを見送ってもらいたい。
アドベンチャーワールドの「桜浜」と「桃浜」についても、次号の『パンダ棚』で掲載予定。
ありがとうございました。
シャンシャンがどこに行くかは、気になってました。
離れていても、シャンシャンの幸せを願っています。
来週の日曜日が、シャンシャンの観覧の最後です。5年間の思い出が、頭の中をグルグルしています。